小原愼司×トニーたけざき対談!! 『星のポン子と豆腐屋れい子』発売記念企画《後編》 1+1が2では収まらない、作家と作家の化学反応はこうして起こる!

2013/11/24 00:00

アフタヌーンの単行本

小原愼司氏トニーたけざき氏、2人の実力派作家が協力し完成した『星のポン子と豆腐屋れい子』

アフタヌーン連載中から人気沸騰、読者アンケートでは10~20代前半からの大きな支持をうけた本作の貴重な裏話をお届けします。

《前編》から続く、豪華にしてロングな独占対談!



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※今回の《後編》は、多少内容に踏み込んでいます。もちろん話の核心には触れていませんが、些細なネタバレであっても避けたいという方は『星のポン子と豆腐屋れい子』単行本を読み終わってからこの記事をお読みになることをお勧めいたします。


小原愼司×トニーたけざき ロング対談《後編》


■扉絵から仕掛けがある


トニー 『星のポン子と豆腐屋れい子』は生活SFとでもいうのかな。いや、ちょっと違うか。

小原 そういえば、ネットで1話目の感想を見ていたら、「扉絵にダマされた」みたいなのが結構多くて。ああいう感想を見て、しめしめと思いましたね(笑)。僕としては1話目の最後の転換よりも、扉絵のほうに仕掛けを作ったつもりだったんです。単行本の後書きにも描きましたが、1話目の扉絵はトニーさんのアドバイスがあって出来ているんですよね。それが仕掛けになった。こういう面白さは合作だから出てきたものですね。

扉絵にだまされた人多数!

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■「1話目は僕のために描いた」by小原


小原 今だからいいますけど、『星のポン子と豆腐屋れい子』の1話目のネームは、僕のために描いたんです。

トニー あ、それ、俺は前に聞いたな。

——と、いいますと?

小原 いかにも僕が描きそうな漫画、いつもの僕がやりそうなコマ割り。それをトニーさんが描いたとき、どんな漫画になるか見たかったんです。

トニー そしたらああなったんだよ(笑)。

小原 もちろん、最後の流れは、これは合作なんだから僕が描きそうな漫画を描いてもしょうがない。だから、トニーさんの絵を想像しながら、2話目以降のネームを描いていった感じですね。

トニー それはなんとなく、ネームを見ただけでも俺にも伝わってきたなぁ。

小原 普段は自分の漫画を描くときに、いちいち自分の絵でなんて想像していないんですよ、わかりきっていることだから。でも、トニーさんの絵で想像しながらネームを描くと、自分が今までやってない流れを作れるんです。それが凄く面白かったですね。だから、『星のポン子と豆腐屋れい子』に関しては、僕が描いたようでもあり、トニーさんが描いたようでもあり、でもどっちも描いてないようなものができた、と思いますね。

——編集長も似たような感想を持っていて「このお二方の合作は何かがある!」と言っていました。本作は、雑誌掲載時の読者アンケートでもすこぶる高評価だったんですよ。

トニー それは本当にありがたい!

小原 あとは、あのオチを、読者のみなさんが納得してくれるかだけが気になりますね。僕は最初からあのオチに向かって描いていたから、僕としては満足のいく終わり方です。


■トニーたけざきの乾いた世界


——1話と3話は、作り方がかなり違うと言うことでしょうか、小原さんの中で。

トニー いや、俺が感じたところだと、1話と3話はむしろ似ているんじゃないかな。

小原 ええ、いつも通りの僕のネームではないことは確かですが、トニーさんのおっしゃるとおり、3話はそんなに僕から離れたものではないかもしれないですね。

——では、2話がかなり違うと。

小原 2話はトニーさんのことを考えて描いたんです。2話は、トニーさんのいいところが全面にでるような話を書こうと思って。

トニー だから肝心の銃撃戦部分は、ネームにはあまり描いてなかったんやな。丸投げや!(笑)

小原 いやいや、ちゃんと、銃撃戦の内容、頭から最後まで描いてますよ! ただ、僕が描いた時は、銃撃戦は4ページでした。

トニー 4ページじゃ銃撃戦を描き切れんから、俺が広げたんやね。

小原 トニーさんが8ページにしてくれました。

トニー 銃撃戦の転がし方のネタを考えながら「あれ? 俺、原作付きの漫画を描いてるんじゃなかったっけ!?」と思ったりな(笑)。

小原 あの2話目は、トニーさんの味が一番出て、トニーさんと小原の合作になっているな、という回になっていると思います。1話目の終わりからそうなんですけどね。2話目の銃撃戦なんかは、トニーさんの一番いいところが出やすい話の流れを作りたいな、と思ってやったところです。

トニー 俺はこれで初めて、モデルガンを買った有り様だけどなー。

——そうか、意外とトニーさんの漫画で普通の拳銃が出てくることってなかったんですよね。SFがメインでしたから。

トニー ちゃんと名前が出てくる銃を描いたのは初めてだなぁ。

——トニーさんは今までの作品で銃撃戦をたくさん描かれてきたイメージがありましたが……。

トニー いっぱい描いてきた。だけど、架空の銃だからナンボでも描けたんや。

小原 僕は銃撃戦というよりも、トニーさんが描く「人が死んでいく様」をいっぱい出して欲しかったんです。トニーさんってギャグの中でいっぱい人殺しているから、読んでいる人はあんまり意識していないかもしれませんが、トニーさんが描く人が死ぬ様って、カラッカラに乾いていてゾッとするんですよね。

トニー そうかい?

小原 ギャグとして無茶苦茶な殺し方していくから、読者はちゃんと笑えるようになっていますが。ギャグじゃなかったら本当にカラッカラで怖いよな、この死に方、と思っていたんです。そっちをいっぱい出していただきたかったというか。改めて「トニーたけざきって怖いよ」ということを知って欲しかったというか(笑)。

トニー そういうシーンをネチネチ描くわけではないのは確かだけど。でも、ネチネチやるほうが、えげつなくないかな?

小原 ネチネチやるのが、えげつなくなるタイプの方もいますよね。一方で、トニーさんみたいに、さっと描いているように見えるから普通に読むと流しちゃうんだけど、よくよく読むとえげつないな、本当にひどいこと描いているな、という人もいて。タイプがあるんだと思うんです。トニーさんが描く、人が死ぬときのカラッカラな恐ろしさ。あれをちゃんと読者に訴えたかった(笑)

トニー 訴えられてしまった!

小原 なので、2話目は僕が思うトニーさんの見所を全面に押し出した感じですね。

——なんとなく、編集者に近い発想だったんですね。この作家さんのこういう面を見せて欲しい、というのはまさに編集者視点だと思います。

小原 ああ、そういうところはあったかもしれませんね。1話目は僕のために描いたけど、2話目はトニーさんの見せ場を読者にお届けしたい、みたいに。

トニー それは気を遣っていただいて恐縮です!(笑)


■3話目は密な打ち合わせの産物


小原 3話目のネームは、打ち合わせで結構直しましたよね。僕の最初のネームだと、ポン子と“彼”は会わないまま終わっていたんですが、トニーさんが「ここは会わせたい」と言ってくださって入りました。あれは本当に良かった。

——この辺、ネタバレになるから具体名を出しにくい箇所ですね。

トニー 2人と会わせるのは、最初は小原君が言っていたことだったよね。でも、会ってないじゃん、と思って突っ込んだんだよね。

小原 描いてみた流れの中で、会わせなくても大丈夫かな、と思ったんですよね、最初は。

トニー 確かに、あの流れでも良く出来ていたんだけど。やっぱりもったいないなー、と思ったんだよね。

小原 いざ直すとなっても、キャラクターたちの位置関係を整理し直すだけだからそんなに大仕事じゃないなと思ったんです。でも、家帰ったら結局30枚直すことになりましたけど(笑)。

トニー いやホント、お疲れ様でした。

小原 でもアレを直したことで、最後のポン子の視点でれい子を見るシーンができたんですよね。

トニー 最初のネームにはなかったシーンだよね。

小原 あのシーンができたので、直して本当に良かったと思っています。あれはトニーさんのおかげでした。ありがとうございます。


■単行本の作りさえ決定した、トニー氏のアイデア


小原 そういえば、3話目の1ページ目、トニーさんが変更してくれてすごく良かったです。

トニー 1ページ目は単なる扉絵じゃなくて、漫画のコマにしたんだよね。この3話目は、あと一言説明が欲しいと思っていたから。

小原 すごく良くなっていて嬉しいです。

——実は、これを見て、単行本の編成も決まったんです、僕の中で。最初はせっかくの合作だし、話と話の切れ目におまけページで何か企画を挟んでいこうと思っていたんです。でも、この3話目の1ページ目を見て、挟んじゃったらもったいないって思ったんですね。この物語を一気に読み切って欲しくて。


■わかりやすさ


小原 さっき1話目は僕のために描いたといいましたが、あれ、僕にとってはすごく良かったことがあるんです。僕の割ったコマ割りに対して、トニーさんが「ほんのちょっとだけ」追加したコマがかなりあるんですよね。

——その一部は、単行本の後書きでも紹介させていただきました。

小原 僕は、自分の作品では細かい説明をすごく飛ばすんです。これはクセなんですけど。

トニー それは人それぞれだと思うけど。あ、でも、卵焼きのアップだけは描かなあかんのや!(笑) アレは描かなきゃいかん絵なんや!

小原 そういう感じで(笑)、僕が普段は飛ばしてしまう説明を、トニーさんがきっちり入れてきているのを見て、僕はスゴイ勉強になりました。僕はどうしても、この流れでわかるはずだから、と思って飛ばしてしまうんですよね。

トニー そりゃ、流れを見ればわかるよね。

小原 だけど、それをやっていると、流れでわかる人、つまり漫画をある程度読み慣れた人以外をふるいにかけてしまうんですよね。

トニー そこで、説明的にならない程度に、コマを足していったんだけど。あー、でも、今回は説明的に足しちゃっているところも結構あるんだ。この漫画に関しては、読みやすくするというのをかなり強く意識したから。説明的だろうと言われてもいいから、丁寧に丁寧に描こうとはしたなぁ。読みやすいようにコマを割っていこう、と。

——そのわかりやすさも、高い人気の秘密だったと思います。


■プロの漫画技術談義


小原 あと、僕はコマを割るとき、水平か垂直にしか割らないんですね。トニーさんも、僕のネームのコマ割りを基本的には踏襲してくれていたんですけど、要所要所で斜めのコマが使われていて。すごいなー、と。自分の漫画で昔、斜めに割ってみたこともあるんですけど。やってみたら「なんで斜めに割っているのか意味がわからない!」という物になっちゃって(笑)。

トニー そういうのはまあ、収まりの問題だと思うけど。

小原 それで結局、僕がやったのは、斜めに割るのをやめて、コマの中に絵を斜めに描くというふうにしたんです。

——ははぁ、なるほど!

小原 でも『星のポン子と豆腐屋れい子』で、トニーさんが斜めに割ったコマを見て、効果的に使われていて。俺はいつまで経ってもこれは出来ないんだろうな、なんて思ったりしました(笑)。

トニー でも、それは藤子・F・不二雄先生が染みついていることもあるんじゃないの、小原君には。

小原 それはあるかもしれませんね。あまり斜めに割った漫画で育ってないというのもあるかもしれません。

トニー 吾妻ひでおさんとかも、小原君は好きだもんね。

小原 そういえば、1話目の大きく話が変わったところで、トニーさん、意図的にタッチというか線を変えてますよね。

トニー してるかも知れないなぁ。

小原 その後、ヤクザの家に行ったときも、変えてますよね。写真を加工した絵を入れたり。

トニー そこは変えてるなぁ、確かに。俺は未だに藤子不二雄A先生が途中で写真を挟む、あの技法が好きなんだよ。

小原 ああー、なるほど。

トニー だから未だに、たまに写真使ってしまうんや。

——期せずして、F先生とA先生の影響を受けたお2人がタッグを組んだことになったわけですね。


■ち・く・び☆


小原 そういえば、単行本のチェックをしていて思ったんですけど、3話目のれい子、異様に可愛くなってますよね。

トニー 頑張ったから描き慣れてきたんだよ。でも、大ゴマの絵は2回くらい描き直ししたなぁ。さらにその後、部分的にも直しているし。

小原 時代に逆らうように、乳首も出てるし(笑)。

トニー 乳首のトーン処理を一生懸命やったよ。これからはいろんな乳首に頑張ってどんどんトーンを貼っていこう、って思ったね(笑)。老若男女、いろんな乳首にトーンを貼っていくと、力強い宣言をここでしたいと思っております!

——編集としては返答に困るんですが(笑)。

トニー あー、あと、小学生の女の子を可愛く描くためにかなり努力した、というのが俺のなかで一番大きいかもなぁ。

小原 子供が登場する漫画はあまり描かれませんもんね。

トニー やっぱり、小原君の漫画の登場人物を預かった以上、その子に恥ずかしい思いはさせたくないと思ったんよね。


■合作をやってみて


小原 僕は自分の連載と平行して『星のポン子と豆腐屋れい子』のネームをやっていたので、切り替えが丁度良かったですね。全然違うモノ描いていましたから。

トニー 俺も極端に違っていたら良かったのかな。「ガンダムエース」のほうは人間もほとんど出ない4コマだから。

——お2人とも、連載を抱えてお忙しい中、本当にありがとうございました。

小原 でも、面白かったですよ。やりがいもあったし。

トニー ああ、面白かった。

小原 アンケートの結果も良かったというのが嬉しかったですね。

トニー うんうん。


■We'll be back!


——お2人、それぞれのアフタヌーン再登場のご予定は?

小原 僕は、何年も前からずっと、アフタヌーンでやらせてほしいと暖めている企画があって、その資料集めも続けています。今は『地球戦争』に集中しているので止まっちゃっていますが、必ずやろうと思っています。

トニー ゾンビものやりたいと思っていたんだけど、ゾンビ映画好きな小原君からゾンビ映画をたくさん借りて見てみたら、俺はどうもゾンビが好きじゃないらしいと気付いてやめにしたよ(笑)。人を噛みちぎるのは好かんなぁ。

小原 僕は、トニーさんにロボットものを描いて欲しいですけどね。

トニー ロボットかぁ。…ああ、あと、いつか短編集を出したいという野望はある。

——いいですね、トニーたけざき読み切り劇場! 次は読み切りで登場していただける可能性がありそうですね。

トニー あれ? これ、俺がアフタヌーンで描くことが前提になってる?

小原 描きましょうよ!(笑)


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