小原愼司×トニーたけざき対談!! 『星のポン子と豆腐屋れい子』単行本発売記念企画《前編》 大型コラボ企画が実現したそのワケは?

2013/11/23 00:00

アフタヌーンの単行本

アフタヌーンだから出来た、原作・小原愼司×作画・トニーたけざきという大型コラボ企画『星のポン子と豆腐屋れい子』。その単行本発売を記念して、豪華対談をお届けします!!

奇跡のコラボで生み出された『星のポン子と豆腐屋れい子』、絶賛発売中! 電書版もありますよ。

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最終話となる第3話の原稿が完成してそう間を置かず、大阪で収録された本対談。同じ大阪在住の漫画家として、プライベートでも交流のあるお2人の、大いにリラックスした雰囲気で始まりました。

2回に分けてお届けする豪華にしてロングな対談

前編となる今回はネーム(※)ができるまでを中心にお送りします。

※「ネーム」とは、ラフなコマ割りと台詞を書き出してみたものです。打ち合わせの材料に使われたりします。


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小原愼司×トニーたけざき ロング対談《前編》


■発端は強引な編集長?


トニー ことの起こりは約2年前ですね。(2012年の)正月過ぎに、当時のアフタヌーン編集長と君(担当)が来て「アフタヌーンに描いてよ!」「ガンダムエースの連載(※)が始まったとこだからしんどいなー」みたいな話をしたんだよなー。
※編注:ガンダムエースの連載とは『トニーたけざきのサクサク大作戦』のこと。

——では、原作付きはどうでしょう、みたいなお話をさせていただんですよね。

トニー それでなんとなく雑談していて、ふと「小原愼司作品の持つ空気感はうらやましい」みたいな話をしたら、編集長がガブッと喰いついてきて。「では、小原さんが原作を書いてくださったら、トニーさんもアフタヌーンで描いてくれますか!」みたいに。

——大阪から戻ってすぐ、当時の編集長が小原さんにお電話していたのを思い出します。

小原 編集長からお電話いただいたのはよく覚えてますよ。「こういう話があるんですが興味ありませんか」みたいなことをおっしゃられて。「トニーさんが言うには小原さんは『地球戦争』の連載を始めたばかりだから難しいんじゃないかとのことでしたが、僕は編集者なので頼んじゃいます!」といった感じでしたね。

——それくらい強引でないと編集長は務まらないというか……。

小原 それでトニーさん、僕、編集長、担当さんの4人で大阪でお会いすることになったのが2012年2月頭くらいですかね。


■いきなり訪れる危機……


小原 その後、突然、編集長が人事異動で交代しちゃったんですよね。担当さんも海外に長期出張になっちゃって。

——その節はご迷惑をおかけしました……。

小原 そんなこんなもあって、これは俺が頑張らないとこの企画なくなるぞ、と思って(笑)。まずは原作のネームを描いてみたんですけど。描き上げて編集部にFAXして、ふとそのとき深夜にやっていたアニメをみたら、僕が考えていた流れと、そのアニメがそっくりだったという! オチがかぶりすぎていてダメだ、というわけで、考え直すことになったりもしました。

——あれは本当に図ったかのようなタイミングでした。

小原 ちなみに、この没企画の主人公が、『星のポン子と豆腐屋れい子』第2話から出てきた男の顔です。これは僕のネーム上での話ですから、何も意味はないですけどね(笑)。

——キャラクター原案、というか。

小原 いろいろあって、『星のポン子と豆腐屋れい子』の第1話のネームができたのは、担当さんが海外出張中でしたね。

——素晴らしいものをいただけたので、すぐに現在の編集長に転送しました。編集長も即決でしたね。

トニー どうやってネームを送ったんや?

小原 スキャンして、メールでお送りしました。

——それをパソコンで拝読しました。転送も簡単で助かりました!

小原 そこからようやく、今の流れが始まったんですよね。


■子供を描くのは苦手だって言ったのに!?


——そういえば、一番最初に打ち合わせした時に、トニーさんは「子供は描きたくない」ということをおっしゃっていましたよね。

小原 そうそう。最初の打ち合わせではあんまり具体的な話は出なくて、その代わりトニーさんの「俺、子供は描けんぞ」と言っていたことがすごく印象に残ったんですよ。あと、トニーさんからの要望で「変なモノを描きたい」というのがあったと思います。

トニー そういえばそんなこと言った覚えある。

小原 最初の没にしたネームも、神様的な存在が出てくるんですが、あれも「変なモノ」として描いていたんです。「変なモノ」「子供」というキーワードだけが、ずーっと強く印象に残ったというわけでして。それで、子供が主人公になりました(笑)。

——『星のポン子と豆腐屋れい子』のネームを頂いたとき、小原さんってSだなぁ、なんて思いました(笑)。メインの2人が小学生ですからね。

小原 子供描けん、というのが頭に残っていたモノだから、逆に子供がぐおおーっと出てきてしまってですね。アレは完全に、トニーさんの最初の「子供描けんぞ」という言葉に引っ張られましたね。

トニー 引っ張られるなよ! 俺はええーっ、みたいな顔したわけですよ。まあ、来た以上は頑張ろうと思って描いたよ……!

小原 1話目の終わりで、れい子は17歳になるわけですけど、考えて見ると、トニーさんって17歳くらいの女の子もあんまり描いてらっしゃらないんですよね。

トニー 昔に描いた『ジェノサイバー』(1993年白夜書房刊、「コミックノヴァ」連載)に出てくるのが16~17歳の女の子だったような気がする。あれは、アニメの方の企画書の年齢設定がそうだというだけだけど。

小原 子供子供したキャラって、トニーさんは出してこなかったですよね。だから、さっき言ったように引っ張られたのはもちろんあるんだけど、トニーさんに子供描いていただくのも面白いよな、と思ったこともあります。(笑)

トニー そりゃ、キミ達は面白いだろうよ!!(笑)

——読者も楽しんでいただけているので、まあ、ここはひとつ。


■子供か廃墟か、の2択だった?


小原 没にした方の企画は、世界中がほとんど廃墟になってしまった設定でした。きっと、僕はそれをトニーさんの絵で見たいと思ったんだと思います。廃墟の世界を。地面がびっしり死体で埋まっていて。

トニー そんなネームが来たら、きっと空を大きく描いただろうな(笑)。地面は下の方にちっちゃく、みたいな。

小原 でも、あのネームは没にして良かったと思っています。アニメとオチがかぶったというのを抜きにしても。後からできた『星のポン子と豆腐屋れい子』の方が、良く出来ていると思っています。


■どんでん返しのジェットコースターストーリーが生まれたワケは


——第1話の試し読み(コチラ)を読んでいただければ片鱗を感じられると思いますが、毎回毎回必ずどんでん返しがある作品なんですよね。これは今のアフタヌーン連載陣の中では異色の部類です。ですから、新鮮に映った読者もいらっしゃったはずです。

トニー ストーリーの運び早いからね、かなり。短期集中じゃなく普通の連載だったら2~3話かけて伏線張ってから、ひっくり返す感じになったかもしれない。けど、それをキュッとやった。1話あたりのページ数が多かった(編注:毎回50ページ程度)というのもあるけど。

小原 それはありますね。短期集中連載、単行本1冊分と言うことで、先の予想もしやすいから、どんでん返しもやりやすいというか。返したその先が見えてますから。

——終わりが決まっていない長めの連載作品ですと、「ここで大転換をやっていいのか?」と悩まれる作家さんもいらっしゃいますからね。

小原 それは今描いている『地球戦争』(小学館「月刊!スピリッツ」で連載中)の作り方とも関係しているんです。『地球戦争』の担当の方は、「週刊少年サンデー」が長かった編集者さんなんですね。少年誌のお話の作り方に慣れていらっしゃって、どんでん返し的なアイデアをどんどん出してくれるんです。僕もこの作り方は面白いなと思って、最近は意識してそれを考えるようになっているから、それもあったんだと思います。特に全3回だと先が見えやすいですからね。

——実は『星のポン子と豆腐屋れい子』、アンケートを見ると若い読者の支持率が凄い高かったんです。その理由のひとつが、そのお話の作り方だったのかもしれませんね。実は編集部としても嬉しい誤算でして。お2人とも、アフタヌーンを長く読んでくださっている読者にはお馴染みの作家さんですから、ある程度年齢層の高いところの支持が中心になるだろうと思っていたんです。もちろん古くから読んでいただいている読者からの支持も高かったのですが、それ以上に若い読者の支持も集めた。すごくありがたかったです。

小原 僕も『トニーたけざきのガンダム漫画』(角川書店刊)の売れ方を見ていて、若い読者を増やしていかないとな、とずっと思っていたんです(編注:『トニーたけざきのガンダム漫画』はいわゆる“ガンダム世代”だけでなく、幅広い年齢層に受け入れられている)。そういう意味では、若い人が読んでくださったのはすごく嬉しいですね。

トニー ぜひ単行本も買ってください、若い人!(笑)


■「くそう、こんなところに大ゴマ入れるなんて!」byトニー


——トニーさんは現在『トニーたけざきのサクサク大作戦』(角川書店「ガンダムエース」連載中)という4コマ漫画を描かれていますが。いかがですか、久しぶりのアフタヌーン。しかも毎号50ページ以上の原稿を描かれてみて。

トニー 疲れたよ!

小原 (笑)。

トニー 疲れたけど、いっぱい漫画を描くのはいいものだなー、とも思った。1ページ8コマに割ってないのは久々だなー、とか。

小原 僕はトニーさんの絵に期待してネームを描いたところがいっぱいあるから、原稿が上がってくるのが楽しみでしたね。

トニー なんとか頑張ったよ、「くそう、こんなところに大ゴマいれるなんて!」とか思いながら(笑)。

——特に3話目は、絵で見せるシーンが多くて読み応えがありました。

トニー ここ見開きでやるのかよ! ……みたいにね。ネームでそうなっているからしょうがないなー、と。


■デジタル作画、十人十色


小原 見開きが多い方が、トニーさんの絵がガチッと見られていいじゃないですか。

トニー でも大変だったよ! もう、見開き用にでっかい紙買おうかな。いつも使っている紙をセロテープで貼ってつなげて見開き描いてるんやけど、もうラチがあかんわ、と思ったわ。

小原 僕は毎回、貼って描いてますけどね。

トニー 俺はペラッペラな紙を使っているから、あんまり綺麗に貼れないんだよ。それがストレスでなぁ。やっぱり大きめの紙を買ってこようかなぁ。

——最終的に頂いたデータはとても綺麗でしたので、そんな苦労があったとは知りませんでした。お2人とも仕上げはデジタルですよね。

小原 トニーさんは本当に、デジタルならではの手法をふんだんに取り入れていらっしゃいますよね。

トニー 出来上がっている原稿はあんなんだけどな(笑)。

小原 僕はパソコンで作業するのはトーン処理と仕上げくらいなので、デジタル作画とは言えないかもしれません。あ、でも、カラーは早くからパソコンで色塗りするようになってましたね。水彩で色塗ってた頃は、必ず2回は失敗していたんです。パソコンで塗るようになって、やり直せるようになったら、本当に楽になった。

トニー でも俺、枠線をデジタルにしたのはこの漫画からなんだよね。正確には今書いている4コマの枠線もデジタルだけど、普通のコマ割り漫画で枠線をデジタルにしたのはこれが初めて。それまでは、枠線まで手で描いた原稿をスキャンして使っていたんだ。だけどこれ、意味ないな、ということに気付いて。

——トニーさんはPhotoshopをお使いでしたよね。しかもすごく古いバージョンの。

トニー メインで使っているのはバージョン3だね(編注:Photoshop 3.0の発売は1994年。トニーたけざき氏は漫画家の中でもかなり早くからMacを使った原稿制作を始めた作家の1人)。


■枠線にだって漫画家は悩む


小原 枠線と言えば、僕が使っているコミックスタジオというソフトだと、綺麗な枠線を作ってくれるんです。その枠線が綺麗すぎて、「俺の漫画の枠線がコレで良いんだろうか?」とずーっと迷っていました。

トニー そんなに問題ないんじゃないかな。俺の漫画だって、前まではピグマ(編注:製図用のサインペン)で引いていたわけだけど……。綺麗な枠線って、そんなに気にすることでもないんじゃないかと思うようになった。あー、でも、言われてみると綺麗すぎるような気がしないでもないかな(※印刷されたアフタヌーン12月号を見ながら)。

小原 僕は自分の漫画に、コミックスタジオが引いたエッジが整った枠線があると、「俺の漫画に合ってるのかな」って悩んじゃってたんですよね。最初。でも、アシスタントの人たちが「別に気になりませんよ」と言うから、描いた本人以外は気にしていないのかな、と思ってやっているんですけど。


■3Dだって使います、50円玉のために!?


トニー パソコンといえば背景のアタリ(下描き作業のひとつ)とるのに、3Dを使っているな。

小原 家の中の3Dデータ、僕も見せてもらいました。

トニー 貧乏な豆腐屋も、金持ちのマンションも、ヤクザの家も。一通り3Dで組んである。簡略化はされているけどね。四角い塊がいっぱい並んでいるようなものだけど。でないと、パースとるのが面倒くさくて。

——素人目には3Dを作る方が面倒くさそうに見えますが……。

トニー でも、何度も描いていると、自分で作った椅子とか家具とか貯まってくるんだよ。それを組み合わせていくとそんなに手間もかからない。それに、下絵のアタリとるために使っているだけだから。六角大王というソフトで十分間に合う。あ、作中に出てくる50円玉だけ、ちょっといいソフト使って作ってるけど。

小原 そういえば見せていただきましたね、50円玉の3Dデータ。「これでナンボでも50円玉出せるぞ!」って(笑)。

トニー 意外と出てこなかったな。あんだけ丁寧に作ったのに(笑)。出し放題だったのに!


■タイトルに豆腐屋は外せなかった


小原 そういえば、タイトルも結構悩みましたよね。僕は最初から「ポン子とれい子」というタイトルで考えていたから、他に何も思いつかなかった。最初に「これだな」と思ってしまったら、あと何も出てこないじゃないですか(笑)。

トニー そうかもしれんが。俺は最後までジタバタする方だからなぁ。

小原 長く相談して良かったですよね。星とか豆腐屋とか、僕の中からは出てこないアイデアでした。

トニー 豆腐屋ってのは入っていた方がいいとずっと思ってたんや。それに、豆腐屋という単語がタイトルに入っている漫画ってほとんどないし。

小原 僕の記憶では、タイトルに豆腐屋が入っているのは、昔のTVドラマで『豆腐屋直次郎の裏の顔』くらいですね(笑)。豆腐屋だけど泥棒もやっている、というドラマでした。

——かなり長く議論して、今の『星のポン子と豆腐屋れい子』に落ち着きましたよね。

(後編へ続く)


お話の盛り上がりはとどまるところを知らず。明日更新の後編では、作品の中身にも踏み込んだお話をお届けします!!

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