本日発売の「アフタヌーン」2月号に掲載された【弐瓶勉×真鍋昌平 四季賞出身作家特別対談】を公開!

2015/12/25 17:00

インタビュー・対談] [四季賞

本日12月25日(金)に発売の「アフタヌーン」2月号に掲載された【弐瓶勉×真鍋昌平 四季賞出身作家特別対談】を、「モアイ」でもお届け!

「アフタヌーン」で数多くの才能を輩出してきた“新人の登竜門”四季賞とは何なのか?

その四季賞の出身者である弐瓶勉氏(『BLAME!』『シドニアの騎士』)と真鍋昌平氏(『スマグラー』『闇金ウシジマくん』)の2人が、四季賞を目指したデビューから今までの漫画家人生を語ります!


【弐瓶勉×真鍋昌平 四季賞出身作家特別対談】


賞も担当も全ては巡り合わせだった

真鍋昌平(以下、真鍋)
まずは弐瓶さん、『シドニアの騎士』の第39回講談社漫画賞受賞、おめでとうございます! そして、連載もお疲れ様でした! 一応誌面に残るから、最初に言っておいた方がいいですよね(笑)。
弐瓶勉(以下、弐瓶)
はい、ありがとうございます(苦笑)。

真鍋
ところで、弐瓶さんはどうして四季賞に投稿しようと思ったんですか?

弐瓶
俺は最初、週刊少年ジャンプに投稿してたんですよ。四季賞の存在は知らなかったんです。でも、ジャンプではなかなか上手くいかなかった。それで、知り合いのアシスタントにどこに持ちこめばいいか尋ねたら、アフタヌーンのことを教えてもらったんです。

真鍋
いい情報でしたね(笑)。

弐瓶
それで四季賞に応募したら、とある編集者さんから「担当になりたい」と連絡がきて。

真鍋
それはどういう理由で?

弐瓶
作品のことを気に入ってくれたんですよね。でも、想像できると思うけど、セリフが少なくて暗いSFだよ(笑)。

真鍋
1作目で何らかの賞を獲れたんですか?

弐瓶
いや、2~3本は描いたんじゃなかったかなぁ。それで、後に連載になる『BLAME!』で「谷口ジロー特別賞」を受賞したんです。その担当さんがゴリ押ししてくれたって聞いてますけど。

真鍋
弐瓶さんの漫画って、制作サイドの人はみんな凄さがわかるけど、そうじゃない人にはその凄さが伝わりにくいじゃないですか。担当さんは売れる見込みを持ってたんですか?

弐瓶
いや、「売れるとは思わなかった」ってハッキリ言ってた(笑)。

真鍋
担当編集者との相性ってあるじゃないですか。その辺はどうでした?

弐瓶
趣味も合ってたし、相性は良かったと思いますね。漫画家を目指している方々も、いい担当者と出会えるまで色々な編集部に持ち込んでみるといい。俺がまさにそうだったので。某雑誌では「スポーツ描かない?」って言われたし。そこで頑張っても芽が出ない可能性は高かったかもしれない。

受賞作を徹底して研究した

弐瓶
(自身の受賞作掲載誌を読みながら)何年ぶりかに見たけど、ひどいな(笑)。これと比べると、真鍋さんが1998年に「四季大賞」を受賞した『憂鬱滑り台』は、とにかく完成度がすごい。できあがってるなぁ。「谷口ジロー氏大絶賛!」って書かれてますね。そうか、俺たち2人とも谷口先生が選考委員の回だったのか。

真鍋
俺、自分の受賞作が掲載された雑誌を今でも保存してるんですよ。表紙も当時アシスタントとしてお世話になっていた髙橋ツトム先生の『地雷震』だし、大切にとっておこうと思って。

真鍋昌平氏は1998年に四季大賞を受賞!

真鍋昌平氏は1998年に四季大賞を受賞!


弐瓶
真鍋さんは最初からアフタヌーンに投稿してたんですか?

真鍋
そうですね、アフタヌーンが最初ですね。アフタヌーンって大賞を獲ったら絶対に載るって言われてて、デビューがしやすいんじゃないかと思って。あと、アフタヌーンって昔も今も掲載作品のバリエーションが多彩で、どんなものを作っても受け入れてくれる土壌がありそうって思ってました。

弐瓶
入選するまで、どのくらい時間がかかったんですか?

真鍋
最初に応募した作品が首尾よく「佳作」に入ったんです。でも、それから大賞を獲るまでに6年くらいかかりましたよ。

弐瓶
6年!?

真鍋
はい。それまでは人に読んでもらおうという意識がなく、「これ面白いんじゃないかな」っていうノリで描いてたんですけど、このままではダメだと思う瞬間があって。それで、「四季大賞」を獲った人の作品をまとめた冊子を担当さんに読ませてもらって研究をしたんです。読む人の好みや面白がるポイントを色々と想定してみたりして。

弐瓶
真鍋さんらしいですね。色々と分析して策を考える。俺と真逆のやり方だ(笑)。自分はそういう研究とかは全然できないタイプ。

真鍋
そうなんですか。『シドニアの騎士』を始める時はどうやったら売れるかとか考えなかったんですか?

弐瓶
読みやすさは意識しましたよ。『BLAME!』の時は知り合いから「意味がわからない」ってよく言われてて、「ならばわかりやすく描いてやろう」って思って描いたのが『シドニア~』なんです。それでも難しいって言われちゃいますけど。あと、絵柄も結構変えたんですよ。内容を見ずに絵柄で敬遠してしまう読者もいるじゃないですか。それも悔しかったので、一度ニュートラルな絵柄で色々な人に読んでもらいたいなって思ったんです。

真鍋
なるほど。俺も売れるための工夫は色々と考えましたね。誰にでも好きなジャンルってあるじゃないですか。自分の場合は犯罪モノのDVDとか見て、面白いと思ったシーンが何分おきにあったかを記録してみたりとか、研究を重ねました。そういう努力が実を結んだのかな、とは思います。

弐瓶
でも、6年って聞くと大変だなって思いますね。

真鍋
25歳くらいの時が大変でしたね。いくら描いても先に進めないような日々が続くと「本当に漫画家になれるのかな」って思ってしまう。でも、その6年の間に色々なことをやったんですよ。歩いて九州に行ったり、ライブペイントっていって人前で絵を描いたりとか。その合間に漫画も描いていた、という感じで。楽しかったです。

弐瓶
じゃあ、そこまで艱難辛苦の6年というわけでもなさそうだな(笑)。

プロの生産力には圧倒された……!!

真鍋
弐瓶さんも俺も、いま四季賞(夏のコンテスト)の選考委員をされている髙橋ツトム先生のアシスタントに入っていた時期があって、髙橋先生にはとてもお世話になったんですよね。

弐瓶
そうですね。時期は被ってなかったけどね。

真鍋
自分は『勇午』の赤名修先生の下での修行期間が長かったんです。髙橋先生のアシスタントは2週間ほどだったんですが内容は濃かったです。中でも参考になったのは、仕事が11時に始まって23時には終わる規則正しいシステム。泊まりでやると気持ちが疲弊してしまうので、自分もこのシステムを真似してますね。あと、お酒を飲んでも次の日にちゃんと仕事をするっていうことも学びました。

弐瓶
とにかく髙橋先生は作画が速かった。自分はそれまで締め切りとか無しで描いてたから、速く描けるということが衝撃だった。

真鍋
今は弐瓶さんも描くのは速いじゃないですか?

弐瓶
やっぱ連載をすると生産力を上げないといけないので。当時の自分には「速く描く」っていう概念がなかった。

真鍋
弐瓶さんは髙橋先生の仕事場にはどれぐらい?

弐瓶
5ヵ月くらいだったかな。自分の連載が忙しくなってきたのでアシスタントをやめることになったんですが、しばらくして髙橋さんから「すごく上手いのが新しく入ってきたぞ!」って連絡がきました。それが後に『ブラックジャックによろしく』を描く佐藤秀峰さんだったんです。わざわざ俺に言わなくても(笑)。

真鍋
でも、アシスタントをやると本当に勉強になりますよね。プロの仕事を目の当たりにすると、作業効率を上げるイメージができる。時間配分とか。自分に連載が務まるかどうかを怖がっている人もいかもしれないけど、それはクリアできると思いますよ。

弐瓶
トーンの削り方とかも教えてもらったし、技術全般が身につきましたね。プロになって毎回締め切りがあるとわかるんだけど、100%の原稿なんて描けないんですよ。そんな差し迫った状況下でプロ作家の最後の瞬発力を実際に目の当たりにすると、今までの自分がいかにヌルかったかがわかると思いますよ。

真鍋
確かに、自分で設定した締め切りって、ついつい引き伸ばしてしまいがちですからね。

四季賞という場は栄養価の高い環境

真鍋
浅瀬に育つ魚って、いるじゃないですか。

弐瓶
何ですか? いきなり!?

真鍋
俺の中での四季賞って「栄養素がたくさんあって守られてる浅瀬」というイメージなんです。育ててくれる環境がないと大きな魚にはなれない。年に4回もあって、「四季大賞」になったら必ず掲載される、そういう保証があるから今も昔もたくさんの人が集まってくるんだと思う。それに、分厚い雑誌だから連載できる可能性も高い感じがする。

弐瓶
はぁ~そんなことを考えてたんですね(笑)。

真鍋
俺、超考えてましたよ(笑)。普段2人でこんなこと、真面目に話さないですもんね。

弐瓶
俺は他の人に勧められて応募したくらいだからなぁ。でも後から思ったことではありますが、四季賞は売れ線の漫画を作るための賞ではないなぁと実感しますね。俺みたいな変わった作品を描く人も受け入れてくれる賞だったなと。アフタヌーンがなかったら漫画家になってなかったかもな。でも、俺の作品に限らず、四季賞の漫画って変なやつばっかでしょ? 真鍋さんの『憂鬱滑り台』だって、タイトルからして売れようって狙いが感じられない(笑)。

真鍋
売れようとしてないですね(笑)。でも、改めて思い返すと、四季賞を目指して自分の描きたいことを模索した経験が今でも核になってます。俺は昔から「人を描きたい」っていう思いが強くあって。他誌で描かせてもらっている『闇金ウシジマくん』でも色々な人に会って取材してるんですけど、10年近くやってても未だにビックリする人がたくさんいるから楽しいんですよね。取材が生活の一部になっちゃってる感じ。

弐瓶
そうなんだ。俺の場合は「漫画家は効率よく稼げる」的なイメージだったので、「何を描きたいのか」とかそこまで深く考えることなくそのまま仕事として始めてましたね。SFというジャンルにこだわりがあったわけでもなくて、自然とSFを描くようになってた。とにかく好きなことを描いてただけ。

真鍋
弐瓶さんの夢について質問した時に面白かった答えが、「太陽の中に突っ込んで自分がどんな風に破滅するのか見てみたい」っていう(笑)。

弐瓶
あと、長生きしたいんですよ。主人公が不老不死だったりするのも自分の欲望だったりします。俺は願望ばっかり作品に投影してるなぁ。

真鍋
作品のスケールの大きさは、弐瓶さんの自由な願望に比例してそうですね。

弐瓶
漫画家として活動するようになって17年くらい経ちますけど、自分は本当にこの職業が合ってるなって思いますよ。天職ですね。ずっと座ってることが苦痛じゃないし。でも俺は連載が終わって、これで引退しようかと思ってますよ(笑)。

真鍋
困りますよ。いま天職だって言ったばっかりですよね(笑)。

なれる!と思えば漫画家になれる!

真鍋
ぼんやりでもいいから「漫画家になれる」と思ってる人はなれる確率も高いと思いますね。もちろん、「自分のダメな部分は何か?」とかは考えないといけないんですけど。

弐瓶
漫画家って、どこから漫画家になったかとかって曖昧ですよね。正直、漫画家になること自体はそんなに難しくない気がします。真鍋さんは才能があると思うけど、才能がない人でもなろうと強く思えばなれるはずです。

真鍋
新人さんの作品をたまに読みますけど、自分の中から湧き出たものを描いてる作品に惹かれますね。たまにそういう「思いが詰まってるもの」が出て来ると驚かされます。

弐瓶
俺はやっぱり画力の高い新人に注目しちゃうな。

真鍋
昔ですけど、五十嵐大介先生の受賞作品は衝撃でしたね。

弐瓶
あ~、『お囃子が聞こえる日』(1993年冬のコンテスト、他1編受賞)だよね。あれはすごかった。

真鍋
今でも四季賞を目指してた頃の初心は忘れないようにしてます。普段から気をつけているのは、惰性にならないようにすることですね。常に新鮮な気持ちでいられたらいいなとは思ってて。自分の場合、作画を始める瞬間って今でもすごく緊張するんですよ。

弐瓶
俺も、常に新しいことをやっていこうと思ってますよ。やりたいことはいっぱいあって。『シドニアの騎士』はもっと早く終わる予定だったので、実は次の作品のイメージも既にあるんですよ。

真鍋
では最後に、新人さんへのメッセージをお願いされたので、何か一言喋って終わりにしましょうか。

弐瓶
とにかく、描いていけばうまくなるし、新人の皆さんには頑張ってほしいですね。「四季大賞」を獲れるかどうかは運もあると思うけれど、俺みたいに「選考委員特別賞」でも連載をつかめることは結構あるし。とにかく連載作家になるために大切なことは生産力。賞を取っても消えてしまう人は多分描くモチベーションがない人だと思うんですよ。安定供給力を持ち続けること、それが最低条件だと思います。

真鍋
今がダメな時期でも、その人生経験そのものを作品の核として生かすこともできる。よくない状況の自分とも向き合って諦めずにやっていくことが大切ですよね。

弐瓶
とにかく、四季賞出身というのが俺たちの自慢ですよ(笑)。

真鍋
ですね。これからも宜しくお願いします!

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