TVアニメ『シドニアの騎士』、そのコダワリに迫る記事を「CGWORLD」誌から特別掲載! 第3回はキャラクターデザインに迫ります。
2014/06/21 00:00
[アニメ] [他メディア掲載・出演・コラボ情報]
制作しているポリゴンピクチュアズのコダワリを追う短期連載企画が、コンピューターグラフィックス専門誌「CGWORLD」(発行/ワークスコーポレーション)にて掲載されました!
映像業界で圧倒的な支持を受ける同誌ならではの視点で迫る記事、その一部を特別公開!
出版社の垣根を越えたコラボ企画、読めばTVアニメ『シドニアの騎士』への理解が深まること間違いなし。
『シドニアの騎士』ができるまで
いよいよ放送開始が間近に迫ったTVシリーズ『シドニアの騎士』。ポリゴン・ピクチュアズ(以下、PPI)が手がける本作のプリプロダクションについて解説する本連載。最終回となる今回は、読者諸兄がひときわ気になっているはずのキャラクターデザインだ。
TEXT_宮田悠輔
漫画原作とモダンテイスト、そして3DCGそれぞれの魅力
まずは原作者の弐瓶勉先生が描くキャラクターの魅力をアニメを通し多くの人に伝えていく方向性で作業を進めていったと副監督の瀬下寛之氏は話す。「当初は原作通りにキャラクターを作っていこうと考えていました。しかし、より多くの人にこの作品の魅力を伝えるにはどうすべきかを考えた結果、原作ファンの方々にもわれわれのアイデンティティを認知してもらいつつ、原作を知らない人たちにも魅力を感じてもらえるよう、今のトレンドを組み込んだキャラクターデザインに方向性をもっていきました」(瀬下氏)。例えば原作で描かれているキャラクターの特徴に、黒単色で塗りつぶされた目の表現がある。しかし、これをそのままアニメ化したのでは、その魅力や醍醐味を効果的に伝えることができないと判断し、目の印象を強調する方向で原作とは異なったデザインがされている。造形監督を務める片塰満則氏が「この目力を表現するため、解剖学に基づきながら目を2重構造にし、アニメ調にしています」と語るように、実際、目のレンズの膨らみや虹彩のへこみ感をシンプルにすることで、アニメとして効果的に表現されている。また、本作でキャラクターデザインを担当する森山佑樹氏のセンスも大きかったとプロダクションデザイナーの田中直哉氏は話す。「彼の情報力、トレンド観察力が大きな武器になりました。漫画でもイラストでもない、絵師と呼ばれる世界をよく理解しているのが良かったですね」(田中氏)。その後、田中氏のチームがデザインしたものをPPI作成のバーチャル空間の中で立体として成立するか、2次元と3次元の間を行き来しながらデザインプロセスの詰めが行われていったとのことだ。こうして出来上がったキャラクターたちは原作の魅力を携えつつ、アニメ作品としての魅力、さらにPPIならではの表現が盛り込まれたキャラクターとして描き出されている。
キャラクターデザインの変遷
トレンドと3DCG特性のベストバランスを探る旅
原作の魅力を踏まえつつ、アニメならではのデザインに落とし込まれた本作のキャラクターたち。その出発点となるのが劇中ヒロインとして描かれる星白 閑というキャラクターだ。「キャラクターのアプローチは星白 閑から入りました。それは、このヒロインをいかに魅力的なキャラクターとして描けるかがポイントになると考えていたからです」(瀬下氏)。これを受け、田中氏と森山氏によって星白 閑のデザイン作業が進められていくこととなる。そこでまず問題となったのが、原作をそのまま立体にすると、印象がまったく変わってしまうということであった。「原作のままモデルを起こすと弐瓶先生の絵とモデルの印象がだいぶズレてしまいました。そこで、改めて森山君に自由な解釈でデザインを描いてもらいました。しかし、最初に彼が持ってきたデザインは原作のイメージとかけ離れていたので、修正をお願いしています。ただ、それを繰り返すと彼も徐々に混乱してしまう。そこで、最初に原作そのままを立体にしたデザインと彼が描いた初期デザインをモーフィングさせ、一番魅力的に見える落としどころを探った上で詰めていきました」(片塰氏)。このようにモーフィングを上手く活用することで、原作の魅力を絶妙なバランスで取り入れたアニメ独自のキャラクターデザインが誕生した。
星白 閑が水先案内人
<A>原作を基に作成した初期3Dモデル。『トロン:ライジング』プロジェクトと同様に(CGWORLD vol.175を参照)、「64顔」(おおよそ正面6:横4という配分の斜め横顔)をプロジェクションする手法で作成。
イラスト的なニュアンスを3DCGに反映
<A>モデラーを悩ませた、目元の「T」字(赤色部分)や、まつげから分かれた線(緑色部分)は、テクスチャではなく、ジオメトリで作られている。まつげ(青色部分)もテクスチャではなく、ひさし状のジオメトリなので見る角度によって形が変化し、よりデザイン画の印象に近くなる。
いかがでしたか?
今回転載させていただいたのは、連載記事のほんの前半部分。ですが、制作現場の熱意が伝わってきたことでしょう!
この連載を最後まで読みたい人は、ぜひ「CGWORLD」誌をチェックしてみてください!
号を追うごとに、どんどんコダワリが見えてくるはず。
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