TVアニメ『シドニアの騎士』、そのコダワリに迫る記事を「CGWORLD」誌から特別掲載! 第2回はメカデザインに迫ります。
2014/06/07 00:00
[アニメ] [他メディア掲載・出演・コラボ情報]
制作しているポリゴンピクチュアズのコダワリを追う短期連載企画が、コンピューターグラフィックス専門誌「CGWORLD」(発行/ワークスコーポレーション)にて掲載されました!
映像業界で圧倒的な支持を受ける同誌ならではの視点で迫る記事、その一部を特別公開!
出版社の垣根を越えたコラボ企画、読めばTVアニメ『シドニアの騎士』への理解が深まること間違いなし。
『シドニアの騎士』ができるまで
ポリゴン・ピクチュアズ設立30周年記念作品『シドニアの騎士』。今回は要の表現のひとつである“衛人(もりと)”と呼ばれるヒト型ロボを中心とした『シドニアの騎士』のメカニカルデザインについて紹介しよう。
TEXT_宮田悠輔
プロダクションデザインとアートディレクションのちがい
本作の世界観設定を手がけているのが、田中直哉プロダクションデザイナーである。そして、そのデザインをより具体的な立体物(CGの場合はバーチャルな“物”)へと“解釈”するのがアートディレクションなのだと、瀬下寛之副監督は語る。「日本の現場ではプロダクションデザイナーとアートディレクター(造形監督)の役割が曖昧になりがちです。作品の世界観を視覚的に設計(デザイン)していくのが前者であり、デザインされた大道具・小道具を実際に造形する際の監督が後者。本作のような“コミックの3DCG化”というアプローチにおいては、特に重要な役割なのです」。そんな本作の造形監督を務める片塰満則氏はリンクス時代の瀬下氏の先輩であり、スタジオ・ジブリのCG室長を務めたキャリアをもつ。つまり瀬下氏や田中氏とは旧知の間柄であり、2人のアイデアを3Dへと落とし込む上でのキーマンというわけだ。「ポリゴン・ピクチュアズ(以下、PPI)ではプリプロダクションの段階から3DCGを積極的に用いていますが、これはプロダクトデザインの世界では設計をCADベースで行うのと同様。実際に立体物をつくるのであれば3Dベースで考えるのが最も効果的だと考えているからです」(瀬下氏)。 そして『シドニアの騎士』のメカデザインの特徴として、田中氏は「人間臭さ」を挙げる。「1000年にわたり宇宙空間をさまようシドニアでは、あらゆるものがリサイクルされています。そのため傷だらけで、ツギハギも多いといった設定の下、デザインしています」。「田中さんのチームが描いたデザイン画を解釈して、立体上でどのように表現するのかを考えるのが造形監督の役割ですね。身近で古びたモノとハードSF的ガジェットを混在させることで宇宙を旅するシドニアの人々の生活がみえてくるよう意識しています」(片塰氏)。壮大なリサイクルの世界におけるメカデザイン
原作漫画のメカデザインを3DCGで拡張させる
人類に襲いかかる謎の地球外生命体「奇居子(ガウナ)」に対抗するべく開発されたヒト型メカ「衛人(もりと)」は、本作のメカデザインを象徴する存在である。「直線によって構成されたフォルム、重工業的なデザインというのが、原作漫画で描かれている衛人の特徴なので、そこにわれわれが得意とする3DCGをベースとしたデジタルアニメーションとしての要素を組み込んでいく、というかたちでデザインしています」(瀬下氏)。 また、3Dモデルならではの硬質感や機械として使い込まれたキズや凹み、汚れといったものを丁寧に描き足すことでリアリティとダイナミズムを与えることにも成功している。「衛人はあくまで人間が操る搭乗機ということを中心に考えています。またアニメの設定では、守備隊の衛人は各部隊ごとに担当エリアが異なるという設定にしているのですが、形状だけではそのちがいを判別させるのが難しかった。そこで、同じ一八式衛人ですが、部隊ごとにカラーリングや腕章のデザインを変えるといった工夫もしています」(田中氏)。そのほかにも、現在の主力機「一八式」は、旧世代の「一七式」制作コストを約1/10まで抑えて量産化させたという拡大解釈の下にデザインすることで実際の3DCG制作の効率化にもつなげるといった具合に、原作漫画の魅力を最大限に活かしつつ、アニメならではのメカ表現に仕上げられている。「衛人」完成デザイン設定
「一八式衛人」の完成デザイン。現在の主力機であり、高性能だが高コスト機だった一七式の機能を簡略化することで大量生産を可能にしたという設定のため、継衛に比べるとよりシンプルなデザインかつ丸みを帯びたフォルムになっている。
傷表現の手描きテクスチャ
いかがでしたか?
今回転載させていただいたのは、連載記事のほんの前半部分。ですが、制作現場の熱意が伝わってきたことでしょう!
この連載を最後まで読みたい人は、ぜひ「CGWORLD」誌をチェックしてみてください!
号を追うごとに、どんどんコダワリが見えてくるはず。
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